ものぐさ読書宣教会

好きな本とゲームを布教するためのブログ。

2023-01-01から1年間の記事一覧

【読書メモ】都築貴博「近代道徳哲学と徳倫理学——ウィリアムズの所論を踏まえて」

2010年の倫理学年報に掲載されてるはずなのに、目次にないぞー、と思って困惑していたら、 日本倫理学会第60回大会主題別討議「『アリストテレスの徳倫理学』に望みはあるか?」のいち発表としてちゃんと掲載されていた。 ・目指すべき倫理学は、近代道徳哲…

永井均『これがニーチェだ』序文〜第二章読書メモ

これがニーチェだ (講談社現代新書) 作者:永井 均 講談社 Amazon 永井均によるニーチェ入門書だが、だいぶ独自の解釈が施されている(らしい)。 ライターやレジンスターのニーチェ解釈と比較したら面白そうだ、と思って読む。 要約できる部分は要約して、でき…

スピヴァク『ある学問の死』一章「境界を横断する」 読書会メモ

読書会を通じて知り合った仏文科の優秀な友人と食事に行ったら、なんと、比較文学が変革する可能性について論じられている、スピヴァク『ある学問の死』第一章「境界を横断する」の5.6時間連続読書会が開催されてしまった!! せっかくの読書会、やりっぱな…

2023/2/16日記 ジェイムソン『政治的無意識』④

更新がしばし滞ってしまった。合間にコンラッド『ロード・ジム』とソポクレス『アンティゴネー』、バトラー『アンティゴネーの主張』を読んだりしていた。前住んでいたシェアハウスの飲み会に顔を出したりもした。現状報告はこの程度にして、『政治的無意識…

2023/2/7日記 ジェイムソン『政治的無意識』③

マルクス主義の哲学者ルイ・アルチュセール(1918-1990) アルチュセールの構造主義的マルクス主義(pp,25-30) ニーチェ的な反解釈的潮流は、アルチュセールの構造主義的マルクス主義にも見つかる。 アルチュセールの立場は、三つの因果律形式(あるいは「…

2023/2/5-6日記 ジェイムソン『政治的無意識』②

第一章「解釈について」を読み進める。 本書における理論篇。 歴史主義のジレンマ(pp,18-19) ジェイムソンは、文学の政治的解釈は、解釈する方法の一つの選択肢ではなく、むしろ「あらゆる読解、あらゆる解釈の絶対的地平」を形成すると主張する。 しかし…

2023/2/4日記 ジェイムソン『政治的無意識』①

政治的無意識―社会的象徴行為としての物語 作者:フレドリック ジェイムソン 平凡社 Amazon 一年前にまるでわからず挫折したフレドリック・ジェイムソン(通称フレちゃん)『政治的無意識——社会的象徴行為としての物語』の読書会の機会を頂いたので、再挑戦して…