ものぐさ読書宣教会

好きな本とゲームを布教するためのブログ。

2020-01-01から1年間の記事一覧

常時乱痴気騒ぎのネオ時代小説──町田康『パンク侍、斬られて候』

最近読んだ本ではないのだが、お気に入りの日本現代文学なので記事を書く。 自分は批評的な読み方を会得した読者ではないので、読んでる最中は「おもちれ、おもちれ」くらいのことしか考えていない。だが、こうして紹介記事を書くことで少しでもその面白さを…

日本的ホラーとスピード感あふれる語りの悪魔合体──舞城王太郎『淵の王』

これもお気に入りの日本現代文学。 自分は小説を何度も読み返すタイプでは全然ないのだが、『淵の王』は4、5回は読み直している。 舞城王太郎は作品ごとに新たな文体を模索するタイプの作家なので(個人的にはその頂点にいるのが谷崎潤一郎と大江健三郎だ…

本当にどうしようもなくて救われない人間のための人間賛歌──『パンティストッキングのような空の下』感想

おいそれと愛や人生について語ることが出来ないように、文学について何か言葉を発すれば発するほど、むしろ遠ざかってしまうような気がする。 しかし少なくとも言えるのは、ただ読み終わった後に読者を優美な気分にさせるだけの作品は文学ではないということ…

人間の無意識を探求する──『魂にメスはいらない ユング心理学講義』書評

魂にメスはいらない ユング心理学講義 (講談社+α文庫) 作者:河合 隼雄,谷川 俊太郎 発売日: 1993/09/07 メディア: 文庫 大学で心理学の講義を受講していて、その学習(この世で最も嫌いな言葉の一つだ)の副産物として読んだのですが、これが読み物としてか…

殺人儀式『黄泉忌みの宴』を攻略し、惨劇の輪廻を断ち切れ!──ノベルゲーム『レイジングループ』感想

『レイジングループ』はケムコから発売されたスマートフォン用アドベンチャーゲーム。 現在では、PS VitaやPS4、Nintendo Switchでもプレイできるようになっています。 自分は3年前くらいにスマートフォン版をプレイし、最近またやりたくなったのでNintend…

芸術的なまでに昇華された無慈悲と残酷──『隣の家の少女』書評

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー) 作者:ジャック ケッチャム 発売日: 1998/07/01 メディア: 文庫 「面白い」と言ったら誤解を招くほどトラウマ級の一冊なのですが、とても衝撃的だったので紹介しようと思います。現在42刷もされている扶桑社のいわば〈顔〉的…